女性活躍推進法とは?

女性活躍推進法についてご説明します
1.女性活躍推進法の正式名称、施行
女性活躍推進法の正式名称は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」です。
施行・法改正は
・平成28(2016)年施行(平成 27年法律第64号)、
・令和元(2019)年改正 令和4年全面施行
・令和4年7月改正・施行
・令和5年改正予定(さらに10年間延長)
2.女性活躍推進法の目的は?
法の目的は、女性活躍推進法の第1章第1条に、以下のように記載があります
「この法律は、近年、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍することが一層重要となっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進について、その基本原則を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針及び事業主の行動計画の策定、女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置等について定めることにより、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目的とする。」
と、定義されています。
よく「女性管理職を3割以上」との目標を見かけますが、決して女性管理職を増やすだけが目的ではないことに注意してください。
(取組みについては別の回で説明します)
ちなみに、この法律では
・国・地方自治体=特定事業主
・国及び地方公共団体以外の労働者を雇用して事業を行う全ての事業主=一一般事業主
と称されております
3.企業は何をすればよいのですか?
(1)事業主の行動計画の策定
女性活躍推進法にも、先に施行されている「次世代育成支援対策推進法」(企業の子育て支援の取組みを義務付けた)同様、国・地方自治体・一定規模以上の企業に対し、それぞれ取組みが義務付けられています。
女性活躍のための取組みについて「行動計画」を策定することが義務付けられ、民間企業の場合「一般事業主行動計画」と称されています。
この「一般事業主行動計画」策定及び各労働局への策定届の届出が義務付けられており、平成28年4月から常時雇用する労働者数が301人以上の企業に、そして令和4年4月からは101人以上の企業にも拡大されています(100人以下企業は努力義務です)。
(2)「一般事業主行動計画」に基づき取組みを実行し、定期的に進捗や結果を確認して、目標達成に向けて行動します(PDCAを回します)。
結果が出ていない、上手く行っていない時は、その取組みが自社に合っていないことも考えられるため、時には見直すことも必要です。
4.「一般事業主行動計画」の策定と届出の手順は?
(詳細は別の回で説明します)
- 自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析
- 状況把握、課題分析を踏まえた行動計画(=「一般事業主行動計画」)の策定
→社内周知→外部公表(自社HPや女性活躍推進データベースなど)
- 「一般事業主行動計画策定・変更届」(様式あり)の都道府県労働局への届出
- 女性の活躍に関する状況の情報の公表 ※301人以上企業は2項目以上、101人~300人企業は 1項目
- 男女の賃金格差の差異 ※301人以上企業
が義務付けられています。
また、行動計画の策定・策定した旨の届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業に対する認定制度もあります。
【認定マーク えるぼし】 (認定段階1)(認定段階2)(認定段階3)

5.法の義務となる企業規模の「常時雇用する労働者とは」?
「常時雇用する労働者」は、正社員だけでなく、パート、契約社員、アルバイトなどの名称にかかわらず次の要件に該当する労働者も含みます
- 期間の定めなく雇用されている者(無期契約労働者)
- 一定の期間を定めて雇用されている者(有期契約労働者)であって、過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者。
又は雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者。
※学生アルバイトは、学業が主であるものは除きます。
6.なぜ「女性活躍推進法」ができたのか?
これまで男女雇用機会均等法でも、第8条特例やポジティブアクションの取組みなど、従来から女性活躍に関する内容はあり企業の取り組みを促してきたところです。
しかしながら、それではやる気のある企業しか取り組まず、女性活躍が進まないため、新たな法律を作り一定規模以上の企業には取り組みを義務付けることとなったところです。
その際、参考となったのが「次世代育成支援対策推進法」
少子化対策として、平成17年に施行されたもので、一定規模(労働者数301人以上、その後101人以上に拡大されました)の企業に対し、子育て支援の取組みについて計画をたて、実行することで少子化に歯止めをかけるというもの。
平成17年4月から施行され本来は10年間の時限立法だったが、さらに20年間延長され、現在も企業の取組みが継続されています。
この、企業による計画策定・実行の取組みが一定の効果があるとみなされ、女性活躍にも応用されたと考えます。
7.女性活躍推進法や次世代育成支援対策法の特徴
男女雇用均等法や、労働基準法などは、「これを守らないといけない」「こうしなければならない」といういわゆる制限やきまりを示している法律です。
それらに対し、女性活躍推進法や次世代育成支援推進法は、事業主に取組み内容を考え取り組んでもらうような「仕組み」を作るといった内容で、これまでの法律とは少し趣旨が異なっています。
8.参考資料
詳しくは厚生労働省のHPをご覧ください
(厚生労働省>テーマ別に探す>雇用・労働>雇用環境・均等>施策情報>雇用均等政策>「女性活躍推進法特集ページ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html